ひきこもり(私の経験も含めて)


イエスの養父ヨセフも、ひきこもりました

ヨセフは起きて、幼子とその母を連れて、イスラエルの地へ帰って来た。 しかし、アルケラオが父ヘロデの跡を継いでユダヤを支配していると聞き、そこに行くことを恐れた。ところが、夢でお告げがあったので、ガリラヤ地方に引きこもり、

新約聖書

マタイによる福音書 2:21‭-‬22 新共同訳

イエスの養父のヨセフも、危険なときはひきこもりました。命の危険を感じたとき、人は自宅で充電することがあります。ひきこもりは必要な時があります。神さまは、どんな時でも共にいてくださるのです。


イエスは、ヨハネが捕らえられたと聞き、

ガリラヤに退かれた。

新約聖書

マタイによる福音書 4:12 新共同訳

~イエス自身もまえに進むだけではなく、退くことがありました。新約聖書はギリシャ語で書かれましたが、原典では「退く」はギリシャ語のἀναχωρέω(英語、外部サイト)が使用されています。この動詞は、

イエスはこれを聞くと、舟に乗ってそこを去り、ひとり人里離れた所に退かれた。しかし、群衆はそのことを聞き、方々の町から歩いて後を追った。

新約聖書

マタイによる福音書 14:13 新共同訳

の「退かれた」の場所でも使用されています。イエスも人里離れた(ἔρημος)場所にいくことも大切にされたと思います。イエスは、神さまと静かに向き合う場所を大切にされました。


弟子たちは皆、

イエスを見捨てて逃げてしまった。

新約聖書

マルコによる福音書 14:50 新共同訳

私自身、学校でいじめられ学校にいけなくなりました。ほぼ外出はしませんでした。道路を昼間に歩くことはできませんでした。歩けるのは誰もいない早朝や、夜などにコンビニにいっていました。

さて、イエスが逮捕されたとき、弟子たちはイエスを捨てて逃げていきました。しかし復活したイエスはそんな弟子たちをゆるし、神さまの大切な使命のために用いられました。人生はどんな失敗や過去があっても、やりなおすことができるのです。


ひきこもりも大切な時ではないでしょうか

片柳神父は、次のように書いています。

「あなたがあなたである、ただそれだけの理由で、あなたはわたしにとってかけがえのない存在だ。もし何もできなくなっても、わたしはあなたを愛している」。それが、キリスト教の説く愛。まったく無条件の愛なのです。このような愛に出会ったとき、わたしたちの心は初めて本当の安らぎを得られる。わたしは、そう確信しています。・・・。

もし、「何もできない人間には愛される価値がない」と信じてこれまで生きてきたのなら、その思い込みを捨てることです。「何もできなくても、生きているだけで価値がある」と信じられれば、周りの人たちが注いでくれる無条件の愛も、きっと信じられるようになるでしょう。片柳弘史著『何を信じて生きるか』(PHP)

~つい、ひきこもりはダメなことと、上から目線で注意してしまうことがあります。社会の価値観を優先してしまい、本人の気持ちを無視してしまうこともあります。親の価値観で子どもを評価するとき、子どもは自分の存在を否定されたと思い、辛くなってしまうと思います。「あなたがいるだけで嬉しい」と思えるとき、子どもは「自分は大切にされている」という喜びをうむと思います。その喜びは、「私は愛されているんだ」という確信にかわっていきます。


片柳神父はTwitter

次のように言っています。

「自分を低くして、この子供のようになる人が、天の国でいちばん偉いのだ。」

(マタ18)

大人になって経験を積み、社会での立場を得ると、「自分は他の人間より偉い」という勘違いが起こりがち。何も持たない子どもの心で、神の前に立つことができますように。


子どものようになる人が一番偉いのだ、という言葉はイエスの言葉です。イエスは、何ももたない子どもの存在をありのまま愛されました。もしかすると、親自身がこの社会の価値観にそまり、「・・・できないと価値がない」という思考に陥っているかもしれません。たとえ何もできなくても「あなたがあなたであるだけで価値がある」というのが、聖書の価値観だと思います。なぜなら、神さまが私たち一人ひとりを愛されて、大切につくられたからです。

また、ひきこもりについての正しい知識をもつことが大切なことが精神保健福祉センターのHPに書嗄れていました。そのなかで、本人にいってはいけない言葉として、以下のようなものがありました。


禁句(例)
 × 「怠けている」
 × 「甘えている」
 × 将来のことや友達の話


一人で抱えこまなくてもだいじょうぶです

互いに愛し合いなさい。

これがわたしの命令である。

新約聖書

ヨハネによる福音書 15:17 新共同訳

~互いに愛し合うとは、互いに支えあうことではないでしょうか。一人でなにもかも抱えると、疲れはててしまいます。

不登校の方は不登校の仲間と集まり、ひきこもりの方はひきこもりの方と集まり、親もひきこもりをもつ家族会などに参加してみることもできます。互いに気持ちが分かり合える仲間はなによりの希望です。家族会の詳しい情報は、ひきこもり地域支援センターな方に聞くのが安心です。


東京の各地域のひきこもり家族会、

地域の相談先情報

https://kazokukai.tokyo/


楽の会

https://rakukai.com/


ほっといい場所ひだまり

http://hidamari.cns-net.or.jp/



外が怖い、視線が怖いとき

ところが、主が言われた、「わたしの恵みはあなたに対して十分である。わたしの力は弱いところに完全にあらわれる」。それだから、キリストの力がわたしに宿るように、むしろ、喜んで自分の弱さを誇ろう。

新約聖書

コリント人への第二の手紙 12:9 口語訳


外にでたくても、視線や対人関係に恐怖を感じる場合があります。これを、社交不安障がい(外部サイト)といいます。

視線が怖いならサングラスや、音が怖いならイヤーマフ(外部サイト)という道具があります。

ひきこもりが病気を抱えているとは早急に決めつけることはできません。また、早急に病院に連れていこうと焦るのはよくない、と上記のYouTubeの動画でいわれていました。しかし、もし可能性として本人が対人恐怖などで辛さを抱えていたら、つらいところはサポート(外部サイト)していくという形もあると思います。それは家族だけでするのではなく、支援者の方たちに入ってもらい、本人の気持ちを尊重しつつ決めていくことだと思います。本人の気持ちに寄り添うことは大切だと、動画をみて思いました。

聖書には、パウロという人物も病気を抱えていたといわれます。しかし神さまは、パウロを用いてくださいました。弱さは隠すものではなく、弱さは宝物になると思います。


支援センター

神よ、わたしに遠ざからないでください。

わが神よ、すみやかに来てわたしを助けてください。

旧約聖書

詩篇 71:12 口語訳


~全国には、ひきこもりに関するさまざまな支援機関・相談窓口があります。なかでも、「ひきこもり地域支援センター」では、社会福祉士、精神保健福祉士などの資格を持つ支援コーディネーターが中心となって、相談支援や、地域における関係機関と連携した支援を行っています。

ひきこもり地域支援センターに、まずは家族が相談してよいと思います。自宅のことは外に持ち込まず全てを抱え込むと、共倒れしてしまうこともあります。本人も家族も、ホッとできる空間と相談できる時間は大切だと思います。聖書には、神さまに向かって「助けてください」と祈っています。「助けてください」こそ、希望を切り開く力になってゆくと思います。


ゆっくりと

野の花がどうして育っているか、考えて見るがよい。働きもせず、紡ぎもしない。

マタイによる福音書 6:28 口語訳


~イエスは、「野に咲く花を見なさい」といわれます。春に咲く桜があり、夏に咲くひまわりがあります。種をまいても、花はゆっくり育ちます。それぞれのスピードが違うのです。

ひきこもりも、本人のスピードがあります。ゆっくり時間がかかるかもしれません。しかし、神さまに委ね、互いに助けあえば、だいじょうぶです。

慌ててしまうのは、自分の思いどおりにしたいという親の欲望にあると思います。人間は神になれないのに、子どもをコントロールしようとします。そこに、人間の悲しみがあると思います。神様の手に委ねていれば、神さまの出番です。神さまは、一番良い時期に解決を示してくださると思います。

慌てずゆっくりに、私たちができるのは相手を大切に思い、気持ちに寄り添うことではないでしょうか。いつか必ず一番あった時に、神さまは花を咲かせてくれるでしょう。神さまを信頼し、互いに助けあってゆけますように。


上記の文章は正解ではありません。あくまでも、自分が経験したなかで、「こんなサポートがあったらよかったな」と思うことを書いてみました。もしこの文章で、こころなどを傷付ける表現がありましたら申し訳ありません。修正いたしますのでお問い合わせよりお知らせください。


家族はどう関わればいいの?

ほめてあげてください。小さなこともメモして、「あなたがいてくれて嬉しい。ありがとう」と伝えてあげてください。


ほめられた経験がない子どもたちには、ひとつの共通点が見られます。それは、「どうせ僕なんか」「どうせ私なんて」という口グセです。親やまわりの人から認められた経験がないから、自分の価値に気づけない。自尊感情を持てずにいるんですね。

土井高徳著『思春期の子に、本当に手を焼いたときの処方箋33』(小学館)


相談機関

まずは

ひきこもり地域支援センター

に相談するとよいと思います。


また、

精神保健福祉センターもあります。

センターでは、こころの健康についての相談、ひきこもりなど思春期・青年期問題の相談、精神保健福祉全般にわたる相談をおこなっています。直接電話するか、ホームページなどで情報を確認するとよいと思います。


家族会(東京の各地域のひきこもり家族会)

それぞれの都道府県にもあると思います。


病院など


情報

厚生労働省ひきこもり支援ポータルサイト「ひきこもりVOICE STATION」


長期化するひきこもり 主な要因は対人関係やうつ病などの精神疾患(NHK)


片柳神父のブログの文章です。

祈りの小箱(136)『動き出すのを待ちましょう』

止まっているように見える人を無理に動かそうとすれば、その人が抱えている問題はもっと複雑になってしまうでしょう。必ずいつか動き出す。そのことを信じて、ただひたすら待つことが必要な場合もあるようです。


こんな本もあります

山中 康裕著

親に暴力をふるう子どもの心がわかる本 (Amazon) 


佐々木正美著

抱きしめよう、わが子のぜんぶ: 思春期に向けて、いちばん大切なこと (Amazon)


桝田智彦(ますだともひこ)著

親から始まるひきこもり回復 心理学が導く奇跡を起こす5つのプロセス(Amazon)

昭和49年、東京都世田谷生まれ。30歳を前に親友を不幸な形で亡くしたことに壮絶なショックを受けひきこもる。その後、「人の役に立つ仕事を! 」と猛勉強の末、30代から大学・大学院へ進学、臨床心理士資格を取得。


一般社団法人SCSカウンセリング研究所

http://www.scsself.com/


石井志昂(いしい・しこう)著

学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること  (amazon) 

著者について(Amazon)より
1982年、東京都生まれ。中学2年生から不登校となりフリースクールに通う。19歳から日本で唯一の不登校の専門紙である「不登校新聞」のスタッフとなり、2006年から編集長。20年からは、代表理事も務める。これまで、不登校の子どもや若者、識者ら400人以上に取材をしている。「あさイチ」「逆転人生」(NHK)「news zero」(日本テレビ)「報道特集」(TBS)などメディア出演も多数。